黄泉の本屋さん
「戻っても私、幸せになんてなれない・・・。私は、誰にも、必要とされてない」
「そんなことない。何度でも、伝えるんだ。愛してほしかったって。奏音さんの気持ちを余すことなくすべて伝えるんだ」
「そんなことしたって変わらない」
「だったらそんな家、出てしまえばいい。他に奏音さんを必要としてくれる人は絶対にいるんだから」
私を、必要としてくれる人・・・。
そんな人、いるのかな。
「辛いなら、逃げたっていいんだ。逃げて、その場所で一からやり直せば。生きてるんだから」
「浅葱・・・」
何度でもやり直せる。
生きる場所を自分で選ぶ。
ぶつかってみて、無理なら・・・。
「奏音さん・・・」
「え・・・あ・・・」
目を見開いた浅葱に、私は自分の手を見下ろす。
私の身体は、淡く光っていた。