黄泉の本屋さん
悲しい記憶と未来へ
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私は、目を開いた。
見えてきたのはまっ白い天井。
そして、鼻に付く消毒液の匂い。
ここは、いったいどこなんだろう。
長い、夢を見ていたような感覚。
「奏音!?」
突然聞こえてきた甲高い声に何度か目を瞬いてその声の方へと視線を移す。
「お母さん・・・」
「ああっ!目を覚ましたのね!よかった・・・よかった・・・っ」
目を赤くさせ腫らせたお母さんの姿。
泣いていたんだろうか。
どうして・・・?
―あんたなんか、産まなきゃよかった
あんな風に、言われたこと私忘れてなんかないのに。
お母さんの言葉が、信じられなかった。