黄泉の本屋さん


「これ、血のつながっている方の父」

「あ、ありがとうございます」



私は少し古びた写真を受け取る。
そこに映る人を見る。



「篠ノ井浅葱。僕の父」




浅日さんによく似た優しい表情。
整った美形な顔に、穏やかな笑顔。




篠ノ井浅葱――――――





「奏音ちゃん?」

「え・・・?」




私はハッとして頬に触れた。
頬は、濡れていた。

泣いて――――――?



どうして・・・。
知らない。
こんな人、知らないのに。



どうして、涙が出るの?
懐かしいと、胸があったかい気持ちになるの?





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