黄泉の本屋さん
いよいよ体にガタがやってきて、もっぱら病院のベッドの上。
それでも私、とてもすがすがしい気持ちなの。
あの踏切であの人・・・浅日さんに出会って。
お付き合いをするようになって。
結婚して子供が生まれ・・・。
作家としてデビューを果たした浅日さんとの生活は、すべて順風満帆とは言い難いけれど。
つつましく過ごしていくには、十分すぎる幸せな日々だった。
「僕は幸せだ。隣に奏音ちゃんがいて、こんなにかわいい子供たちがいて」
浅日さんの口癖。
私も、幸せです。
あなたと一緒になれて。
本当に、幸せでした。
彼が亡くなるそう、1年くらい前。
私は、あの人の事を想いだした。
それは、突然。
何の前触れもなく。