黄泉の本屋さん
信ジル者ハ救ワレル
「お茶をどうぞ」
ふてぶてしい顔の暁が湯のみを私の前に差し出した。
湯のみからは湯気がほくほくと上がっている。
そっと手に触れると、熱かった。
熱さも、感じる。
「えと・・・」
私はちらりと部屋を見渡す。
玄関から入ったあの土間から広がる広間の先の部屋。
そこは畳の部屋で、和テイストだ。
そう言えば、外観は日本家屋だったのだと、思い出した。
忘れてしまうほどの“いろいろ”が起きたのだと少しうんざりした気分になる。
木の重々しいテーブルを挟んで向かいに座った浅葱を見る。
浅葱も、暁が持ってきた湯呑を両手に挟みすっかり落ち着いている。
というか、くつろいでいる。
「あ、あの!」
「ん?あ、ああ・・・。ごめんね」
私に気づいた浅葱は笑いながら湯呑を置いた。
この人!
本当に、大丈夫なの?
のーんびりのほほーんとしすぎじゃない?