黄泉の本屋さん
「どうにかしてよ!」
「そう言われても・・・。どうして、拒むのか、その理由がわからないと・・・」
「どうしてって・・・?」
「なにか、理由はあるはず。なにかはわからないけど。何かが邪魔をしているのか、それとも君自身が拒んでいるのか」
「私自身が・・・?そんなわけ、あるわけないよ!」
拒む理由なんて。
私は、戻りたいんだもの。
平凡だった生活に。
お父さんとお母さんの側に。
私は、戻りたいんだから。
「君が、戻れるように協力はするよ。それまでここにいてくれたらいいから。ここには、僕と暁しかいないし、自分の家だと思ってくつろいでくれていいから」
「まったく・・・。浅葱は本当に、お人よしなんですよ!」
「ははは。ごめんね、暁」
「・・・浅葱が、いいなら俺はいいです」
どうしよう・・・。
理解したくないのに。
それでも、理解しなくてはいけなくて。
自分が、こんなところにいて。
戻る方法がわからなくなっているなんて。
こんなところで、こんなわけわからない人たちと暮らしていかなくてはいけないなんて。