黄泉の本屋さん
「おいしい・・・」
「でしょう?暁の料理は絶品なんです」
目の前に並べられた料理。
一口口にするとおいしさが口の中に広がって心がほっこりする。
こんなになっても、美味しいものは美味しいと感じられるんだ。
それが少しうれしい。
「お母さんの料理が食べたい・・・」
「はい?」
「お母さん、料理がうまくて、とってもおいしいの。お母さんの肉じゃがが好きで・・・」
「・・・そうですか」
浅葱が穏やかに笑う。
コトン、と食器を机に置く。
どうすれば、戻れるんだろう・・・。
ため息をついた。
「奏音さん?」
「あ、いえ。すみません」
心配かけないようにそう言って笑った。