黄泉の本屋さん
「私っ、茜ちゃんに我慢させてしまったかもしれない・・・っ。ママにぎゅってしてほしいって言っていたのに!それなのに私!私がギュッとしてもいいって聞いて・・・っ」
茜ちゃん、いい子だから、きっと我慢して。
本当の心残りを我慢させてしまった。
本当の心残りを晴らせずに、成仏させてしまったんだ・・・!
「奏音さん・・・」
「茜ちゃんの未練、晴らせなくなっちゃったっ!」
「落ち着いて、奏音さん。そうじゃありませんよ。茜さんは、ちゃんと未練を晴らし常世へ行かれたんですよ」
「でもっ!」
「未練を、その未練のまま晴らせる人は、ほとんどいないのですよ。生きている人の目に届かぬことの方が多いから。それは、皆わかっている事なんです」
そうだとしても。
私、わかってなかった。
茜ちゃんと向き合うことが。
未練がある人と向き合うことがどういう事なのか。
「成仏というのは、それほど簡単なことではないんです」
「・・・っ」