黄泉の本屋さん
どうぞよろしく、お願いします。
「ここ・・・」
黒瀬さんが驚いたように目を見開く。
ここが、どうかしたんだろうか。
私たちは、黒瀬さんの幼なじみである亜紀さんが現在(いま)いる場所にやってきていた。
「知ってる場所ですか?」
「・・・僕が、事故にあった現場。さっきの教会から近い場所です」
「え・・・、ここが?でも、どうしてここに・・・?」
それって、亜紀さんに関係する場所というより、黒瀬さん自身に関係する場所なんじゃ・・・。
私は浅葱を見たけど、浅葱はニコニコと笑っているだけ。
浅葱は何かを知っているの?
しばらくそこで立ちすくんでいた。
黒瀬さんは、辛い思い出が蘇ったのか黙り込んだまま。
自分が死んでしまった場所なんて、辛くないはずがないんだ。
本当にここにいたら、亜紀さんに会えるの?
少し、疑い始めていたその時。
「あ・・・っ」
黒瀬さんが戸惑いの声を上げた。