黄泉の本屋さん
「浅葱さん、どうにかできないんですか?」
このままなんて、悲しすぎる。
どうにかしてあげたいよ。
こんなに側にいるのに。
だって、彼女だってきっと黒瀬さんの事を思ってここに・・・。
黒瀬さんが事故にあったこの場所に。
「・・・残念だけど、霊を見る素質のない人間に無闇に霊を見せることは禁じられているんだ」
「え・・・」
「霊体を実体化することはできない。だから、見せるには生きている人間の霊感を一時的に高めさせる必要があるんだ。でも、それが抜けきれずそのせいで霊感体質になってしまって、これから先の人生に支障をきたすこともあるからね」
「そうなんだ・・・」
「言ったと思うけど、霊とは優良な霊ばかりではない。悪霊だって、地縛霊だってたくさんいるんだよ。見えるということは、そう言う悪い霊さえも引き寄せてしまう事になる」
そんな・・・。
黒瀬さんを見せるために、亜紀さんのこれからの人生を危険に晒すことは―――――。
「いいんです。こうして見られただけで。十分です」
黒瀬さんは、そういて笑った。
でも、その笑顔は少し寂しそうで・・・。