黄泉の本屋さん
こんなに、幸せそうな笑顔で。
死んでしまった黒瀬さんを思っても。
悲しみで陰らない。
きっと、黒瀬さんとの思い出が、楽しいものだったから。
黒瀬さんの優しさが、きっと亜紀さんの中に生きているから。
きっと、そうだよ。
「 亜紀・・・ありがとう。・・・幸せでいて・・・ 」
風が舞う。
風は亜紀さんの髪を浚って。
その声は、届いただろうか。
一瞬、亜紀さんが風に顔をあげた。
その視線が、光に包まれた黒瀬さんを見た気がした―――――。
「健太郎――――――」