黄泉の本屋さん



「うぅぅ~」




床に蹲り泣きべそをかく私。
そんな私の背中を優しく撫でてくれる浅葱。

そして、呆れた視線で見下ろす、いや、見下す暁。




「だから、いちいち泣いていたらきりがないと言っているでしょう!」

「だっ、だってぇぇぇ!」




怒鳴られたって、仕方ないじゃない。
涙は出るのよぉ!


14年経ってもなお、大切だと、あんなに幸せそうに話してくれた亜紀さん。
それは、恋愛のそれではなかったけれど。

でも、きっと黒瀬さんにとってはとても大切な思いだったはず。



その想いを抱いて常世へ行けた黒瀬さんは、少しは幸せだっただろうか。




「でも、すごいですよ」

「え?」




浅葱の声に、涙を拭いながら顔をあげた。
すごいって、なにが。




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