黄泉の本屋さん
浅葱も暁も、人間ではないんだよね。
神さまって、どういう存在なんだろう。
霊体に近いんだろうか。
生きてる人の目には特別な力を使わないと映らないのだし。
そんな神さまでも、体調を崩したりもするんだ。
大丈夫かな、浅葱・・・。
心配になってじっと見つめていた。
しばらくすると、暁がお盆に湯呑と煎じた薬草を持ってやってきた。
そのお盆を側におくと、浅葱の側に座る。
「浅葱、いつものことだって言ってた。身体、弱いの?」
「仕方ないことなんです。浅葱がこうなるのは」
「仕方ない?」
どういうこと?
「浅葱は、神の代行人。正確には神ではないんです」
「え、そうなの?」
「ですから、神の仕事は身体に負担がかかる。一冊の本を作るのに、かなりの体力を消耗してしまうんです」
黒瀬さんを成仏させたことによって出来上がった一冊の本。
黒瀬さんの一生が記された、黒瀬さんの物語。
それを作るまでに、相当な力を消耗するんだ。