黄泉の本屋さん



「はい、飲んでください」

「やだ」

「やだって、飲まなくちゃ元気になりませんよ」

「元気だもん」

「だもんって・・・」



可愛すぎるでしょう。
あなた、何歳ですか。
可愛すぎるんですけど。

私は、スプーンに薬を乗せると浅葱に差し出す。



「ほら、あ―ん」

「やだ」



頑なな浅葱は、固く口を閉ざして顔を反らした。
この、頑固者め!



「子どもじゃないんだから、これくらい飲んでください!」

「いらない。僕は大人なので、薬がなくても元気になれます」

「それ、大人とか子供とか関係ないから。病気の時は大人でも薬の力は必要なの!」



私がそう言っても、浅葱は今度は体ごと背を向ける始末。
ここまでとは・・・。





< 89 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop