黄泉の本屋さん
「料理のセンスが、ないんですよ・・・」
ウンザリした様子の暁を見て、きっと以前にも同じような状態が起きていたんだと気付いた。
「浅葱、気持ちだけもらうよ。ありがとう」
「奏音さん・・・」
「ここは私が片づけておくから、浅葱は自分の仕事してきて?」
シュンと肩を落とす浅葱が可愛い。
あんなに悲しそうな顔されたら起こる気になれないよ。
きっと、暁もそうなんだろうな。
「暁、浅葱を連れて行って」
「・・・すみません、奏音さん。ここはお願いします」
「うん」
浅葱と暁を追い出して片づけを始めた。
ここに来てもう1週間くらい経った。
ここの生活にも慣れてきた。
浅葱と暁は二人ともいい人だし、一緒にいると楽しい。
この生活に、満足している自分がいた。