めんどくさがり系女子の恋愛事情



…私が?


……高野くんのことを?


………好き?



「…はあぁ!?」


まてまて、なんでそうなる!?

さすがの私でも、桃の言う『好き』が恋愛感情を意味してることはわかる。

でもこの流れでその結論に至る理由がわからない。



「だって、高野くんと話せなくなるの嫌なんでしょ?

それって好きだからもっと話したいって思ってるのかなって。」


「…。」


そうだけど、それにしても

好きだなんて、そんな…。


何も言わない私にさらに追い打ちをかける。



「今まで高野くんといて、心臓がドキドキしたり

もっとこの人のこと知りたいなーとか、

もっと笑顔みたいなーとか

思ったことない?」



…めちゃくちゃ心当たりあります。

高野くんの笑顔を見てドキドキしたり

もっと、もっと…と思ったことがある。



「…あるけど、それがイコール好きってことなの?」


誰かを好きになったことがない私には難しい問題。

そんな私に桃は優しく笑いかけてくれた。



「そうだよ、それが恋なの。」


「…恋、か。」



初めての感情。

なんで心臓がドキドキしたのか、



今わかった。





「…私、高野くんのことが好きだ。」




いつも笑いかけてくれる彼。

時々意地悪で、私のことを変な人だと言うけど

それでもピンチのときは助けてくれる。

大丈夫だよ、頼ってよって言ってくれる。



そんな優しい彼がいつの間にか好きになってた。




認めたら今までのことに納得できる。

好きだから、ドキドキするし

もっと一緒にいたいと思う。


でも…



「高野くんと初めて話したの、1週間前だよ?

そんな簡単に人を好きになるもんなの?」



普通はもっと時間がかかるもんじゃないの?

1週間て…短すぎないかな。





「恋に時間なんて関係ないよ。

落ちるときは一瞬なんだから。」



いつもは甘えてくる桃が

今はなんだか頼もしいお姉さんみたいだ。

桃の言葉が胸にストンと落ちてきた。


恋に時間は関係ない、か…。



「…そっか。

ありがと、桃。」


モヤモヤしてた心が一気に晴れた。


高野くんが好きという気持ちに気づかせてくれた桃に感謝。





「どういたしまして。」


そう言う桃が少しの間、悲しげな顔をしているように見えたのは、私の気のせいなのか…?


すぐにいつもの桃に戻ったので、深く考えないことにした。





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