めんどくさがり系女子の恋愛事情
リーダー格女子の質問には答えず、真っ先に私を心配してくれた彼女。
人を安心させるような笑顔。
きっと真顔でも美しいのだろう。
背中のあたりまである長い黒髪は濡れてしまっているけど、ツヤツヤで女の私でもうっとりしてしまうほど。
身長は私より20㎝ほど高いだろうか。
スタイルもいいし、
中学生にしては大人っぽい。
誰が見ても美人だと、きれいな人だと答えるだろうその姿に、私は釘付けになってしまった。
何も答えられないでいると、彼女は静かに話し始めた。
「こんなことをしてくだらないと思わないの?」
さっき私を心配してくれた優しい声色とは真逆の、冷たい声。
教室の温度が下がったような気がした。
「な、なによ!
私が悪いっていうの!?
それに、私が何しようとあんたに関係ないじゃない!!」
ギャンギャン吠えるリーダー格女子。
耳をふさぎたくなるような声に対して、涼しげな顔をしている青山さん。
その表情からは怒っているのだと読み取れた。
でも、なんで彼女が怒るんだろう?
あの女が言うように、彼女には関係のないことなのに…。
「まぁ、たしかに私には関係ないことだし、
本音を言うとこの今の状況、とてつもなくめんどくさいんだけど。」
「なら、どうしてあんたが」
「でも誰かが止めないと、
宮田さんはこのままずっと傷ついていくし
あなたも傷つくでしょう?」
「…え?」
彼女の口からは驚きの言葉が飛び出てきた。
私をいじめるとあの女も傷つく…?
「なんで私が傷つくのよ!
傷ついてないわよ!!」
「…あなたは気づいてないだろうけど、
宮田さんをいじめてるときのあなた、悲しそうだよ。
本当はわかってるんじゃないの?
こんなこと間違ってるって。」
「…う、うるさい!
そんなことない!
悲しんでなんかない!!」
…いじめられてるときは気づかなかったけど、
たしかにあの女の顔は悲しそうで、苦しそうで
何かを耐えているかのようだった。