めんどくさがり系女子の恋愛事情
それからの私の行動は早かった。
その日のうちに、お礼をしたいと頼み込むと
「じゃあ、友達になって。」
と笑いながら言ってくれた。
それでは私も得をしてしまうと言うと
「いいじゃん、お互い得することのほうが。」
とさらに嬉しいことを言ってくれた。
友達がいなかった私にできた、初めての友達。
彼女もクラス内で特別仲のいい人はいないみたいだった。
理由を聞くと
「特定の子と仲良くするのはめんどくさい。」
とのこと。
それなら私のこともめんどくさいと思ってるのかと少し落ち込んだが、
「でも宮田さんは、めんどくさいないよ。
たぶん。」
という言葉に舞い上がった。
それからというもの、毎日毎日夏美といた。
夏美は私のことを桃と呼んでくれた。
誰からも呼ばれたことのない呼び名。
とても嬉しくて、ドキドキしてた。
この頃の夏美は今のような無表情じゃなくて、毎日キラキラな笑顔だった。
めんどくさがりなところは健在で、授業中はいつも寝てばっかだったけど。
陸上部に所属していたから、暇なときに練習を見に行ったりすると、必ず私に気づいて手を振ってくれた。
…ある出来事を境に、陸上部をやめて、夏美から表情が消えてしまったけれど
それでも私には相変わらず優しかった。
どんな夏美でも、私の感情は変わらなかった。
高校は同じところにどうしても行きたくて、頭のいい夏美についていくために必死に勉強した。
レベルを下げたら?と親に言われても
無理をするなと担任に言われても
一緒の高校だといいなと言ってくれる夏美のために頑張った。
その甲斐あって、私は今もこうして夏美の隣にいる。
でも、夏美に好きな人ができてしまった今
押さえてきた気持ちを吐き出してしまいそうで
いつも通り接することができるか不安になる。
どうか……どうか、この気持ちだけは
夏美に気づかれませんように…ー。