めんどくさがり系女子の恋愛事情
「…え、なんで?
いつも通りだよ!」
そうおどけて言う桃。
ほんとにそうなの?
「じゃあ、なんで別れそうとか、不倫とか
そういう話ばっかしてんの?」
「別に深い意味なんてないけど…
ただ何となく話したら面白いかなーって思っただけ!
ほんとにいつも通りだよ、私は!」
やけにいつも通りを強調してる。
これでそこら辺の人なら欺けるだろうけど、何年一緒にいると思ってんの。
今動揺してるのバレバレ。
「いつも通りというか、いつも以上に元気だね。」
「そう?
全然普通だけどな~」
話しながら視線がだんだん右にずれていく。
…内心焦ってるとき、嘘をついてるとき、
視線が右のほうに流れるのは桃の癖。
「ほんとは何かあったんじゃないの?」
「…何をそんなに疑ってるのかわからないけど、
別に体育祭のときには何もなかったよ。」
いつもならこの辺で「実は…」って話し出すんだけど、
今日は口が固いらしい。
んー参ったなぁ。
「私に嘘つこうなんて100年早い。
バレバレだって。
そんなに私に話せないこと?」
素直に話もらえないのがこんなにめんどくさいなんて…
ちょっと今までの自分の言動を反省。
桃は眉をひそめてこっちを見たけど、相変わらず動揺してるっぽい。
「…嘘じゃないし。
それに私に何かあったとしても
夏美には関係ないじゃん。」
「…何だそれ。」
無意識に低くなる声。
関係ないってどういうこと?
さすがの私もイラっときた。
そんな私を見て、桃は黙ってしまった。
「…関係ないことないだろ。
友達なんだから。
何かあったのか心配して何が悪い?
友達なら当たり前のことだろ。」