めんどくさがり系女子の恋愛事情
間違ったことを言ったつもりはなかった。
大事な友達を心配するのは当たり前だというのは本心だった。
でも桃の顔を見たとき、
私はたしかに桃を傷つけたのだと悟った。
とても苦しそうで、今にも泣き出しそうな顔をして
必死に何かに耐えてる桃は
静かに呟いた。
「…そうだね、夏美はそう思ってるかもしれない。
でも私は、そんな風に思ったことない。
夏美を友達だなんて思ったことない。」
この間見た夢のように
真っ逆さまに落ちていくような感覚だった。
桃から言われた言葉が衝撃的すぎて
目を見開き、口からは何も出てこなかった。
もう高野くんのことは好きじゃなくなったと言いたかったのに
心配かけてごめんと改めて言いたかったのに
…なんでそんなこと言うの?
友達だと思ったことないって…
それならどうして友達じゃない私と一緒にいたの?
今まで過ごした時間は何だったの?
ねぇ、桃…答えてよ。
何も言わない私を置いて桃は自分の席へ戻っていく。
背中をただ眺めることしかできなかった。
桃が目に涙をうかべていることも知らずに。
遠くでチャイムの音が聞こえる。
最悪な朝だった。