めんどくさがり系女子の恋愛事情
キーンコーンカーンコーン…ー
今日最後の授業が終わったことを告げるチャイムが鳴る。
遠くでその音を聞きながら、私は空を見上げていた。
ここは屋上。
普通の人は入れないんだけど、私は鍵を持ってるからサボるのに大いに役立っている。
…鍵の入手ルートは企業秘密ということで。
いつもは授業がめんどくさいからという理由で来てるけど、
最近は他にも理由がある。
それは教室にいると桃と高野くんの存在が気になってしまうということ。
桃とは相変わらず話せてないのに席の関係上、授業中はずっと視界に背中が見えるし、
高野くんのことを好きでいるのはやめようと思ったものの、そう簡単に気持ちは動いてくれないし、
結局二人を意識してしまって、教室にいると落ち着かない。
だからこうしてここまで来て、時間を潰しているのだ。
ほんとは家に帰って寝たいけど、早く帰るとあとで兄がうるさい。
「なんで夏美が家にいる?
学校はどうした?
まさかいじめられているんじゃ…!?」
とか何とか検討違いのことを言い出して、学校に抗議しに行くかもしれない。
それだけは何としても避けねば…
いろいろと考えているうちに、時間はだいぶたっていたようだ。
ここにいると時間がたつの早いな。
もう教室には誰もいないだろうし、そろそろ帰るか…
そう思って寝転がっていた体を起こし、ノロノロと歩き出した。
…このあと、傷つくことも知らずに。