めんどくさがり系女子の恋愛事情
7 夏美side
電車を乗り継いで3時間。
やって来たのは県外の小さな町だった。
今私が住んでるところや都会とは違い、ひとけもなく、空気が澄んでるような気がした。
携帯の画面で時間を確認すると8時前。
そろそろ家では私がいないことに気づく頃だろう。
父さんと拓也、それに実は弟がいる私。
みんな心配してんのかな…。
とくに拓也は騒いでそう。
でもこうして誰にも言わずに家を出たのは初めてではない。
母さんが死に、魂が抜けてしまったかのようになった中2の秋。
ちょうど今から3年前のことだ。
大切な人を死なせてしまったという罪悪感と生きる希望をなくした虚無感から
何もする気がなくなってしまった。
そんな私は無意識に財布を手に取り、
ここに来ていた。
緑豊かで
空気のおいしいここは
母さんの生まれ育った場所だった。