めんどくさがり系女子の恋愛事情



以前来たときはお昼頃だったから、駅前にはバラバラと人がいたけど


今は夜。


閑散としていた。



着いてからのことを全く考えていなかったから



ほんとに余裕がなかったんだなと自嘲気味に笑う。



1分でも1秒でも早く、あそこを離れたかった。



一人になりたかった。



でもここに来て、



一人になることを望んでいたはずなのに



急に孤独感に襲われた。




今の私は誰にも必要とされていない…



いつになくネガティブ思考な私はその場にうずくまってしまった。




いっそのこと、



このまま眠ってしまおうか…




諦めにも似たような感覚に、少し懐かしさを覚えながら



私は意識を飛ばした。








ーーーーー



目が覚めると、私は布団の上で寝ていた。



…駅前で寝ていたはずなのに、どうしてここに?



ここはどこ?





辺りを見回すと、この部屋は誰かが使っていたような痕跡があった。



キレイに整頓されているが、生活感はない。



そんな印象を受けた。



窓のほうを見ると、カーテンからは光が差し込んでいるから



どうやら朝になったようだ。



私は布団から出ると、そっとふすまを開けた。



冷たく、静かな廊下を歩く。



一歩一歩踏み出すたびに軋む音が響く。



すると、トントンとまな板の上で何かを切る音が聞こえてきた。



誰かいるの…?



私はその音を頼りに、この家の主であると思われる人の元へと向かった。
















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