めんどくさがり系女子の恋愛事情
8 桃華side



夏美が教室に入ってきたとき、


あぁ、終わったな


と他人事のように思っていた。




「二人がどうなろうと私の知ったことじゃない。



桃は友達じゃないし


高野くんはただのクラスメイトだし。



だからどうでもいいけど、めんどくさいことに私を巻き込まないで。」




冷めた目で私たちを見つめる夏美。



低い声が静かな教室に響く。





彼女の中で私は友達じゃなく、めんどくさいことの対象になってしまった。


でも、その原因を作ったのは私。



自分で友達じゃないと言っておきながら、私は何を悲しんでいるんだろう。





「まぁ、とりあえずお幸せに。」




…ほんとはそんなこと思ってないくせに。 



そういうとき、いっつも無理して



本当の気持ち隠すんだから。




高野くんが好きなくせに。




でも本人がいる前でそんなことは言えない。



何もできないまま、



夏美は教室を出ていってしまった。






「「…。」」



二人の間に流れる沈黙。



やっと出たのは



「……ごめん。」




か細い私の声だった。




まさか聞かれるとは思ってなかった会話。



私が巻き込んでしまったから、高野くんも相当キツい思いをしてると思う。




それなのに彼は責めることをしなかった。



「いや、俺の方こそごめん。



誰かに聞かれること、想定してなかった…。」




どこまでも優しい人。




だから夏美は好きになったんだろうな。




…それに比べて私は



好きな人に「友達だと思ったことない」なんて言って、傷つけた。




…でも友達だと思ったことないのは嘘じゃない。



だって私は出会った瞬間から




夏美のことが好きなの。





夏美は私の好きな人。


一番彼女の近くにいられるのは「友達」のポジションだから、大人しく我慢して「友達」のところにいたの。






今さら後悔しても遅いけど、




この気持ちを正直に伝えてたら、




何か未来は変わってた?




二人とも笑えてた?








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