めんどくさがり系女子の恋愛事情
「なんで私に何も言ってくれないの!?
私は夏美の友達だよね!?
クラスの子から夏美が渡辺明美に連れていかれたって聞いて!
もう悔しい!悔しい!悔しい!!」
明美さんの苗字、渡辺なんだ…て気にするのはそこじゃなくて。
「…桃、落ち着いて。」
「落ち着いてられるかー!!」
…誰かこの人を止めてください。
私の唯一の友人である宮田桃華(みやたももか)は目はぱっちり、唇はぷるん、鼻筋はすっとしててかわいいが性格に難点あり。
茶髪をツインテールにしてるが、これはたまに凶器になる。
振り回されるとたまってもんじゃない。
「夏美があの時助けてくれたから今の私がいるのに
また何もできなかった!」
…目に涙をためる姿を見ると何も言えなくなってしまう。
あの時というのは中1の頃のこと。
当時クラスでいじめにあっていた桃に私が「大丈夫か?」と声をかけたのだ。
たったそれだけのことなのに、今でも桃は私を恩人だという。
「私は別に助けたつもりは…。」
「いいの!私が助けられたって言ってるんだから!
それよりもなんで言ってくれなかったの!?」
話が振り出しに戻ってしまった…。
「めん「めんどくさいから、とか言ったら怒るよ。」…。」
セリフ被せてきた、というか言いたいこと先読みされてる…。
「…桃を巻き込みたくなかったから。
あーゆー女子のねちっこいやつ、嫌いでしょ?
それにあの時のこと思い出して、傷ついてほしくなかった。」
これは本音。
説明するのがめんどくさかったのもあるけど、
巻き込んで傷つけるのだけは避けたかった。