めんどくさがり系女子の恋愛事情
私にとって、それは衝撃的だった。
どんな言葉でも受け止めようと思っていた。
もう友達じゃないと言われても、これから友達になっていこうと言うつもりだった。
それなのに桃は、今全く真逆のことを言っている。
私のことが、好き…?
頭がついていかない。
困惑する私に桃は話し続ける。
「私、昔からいじめられてたの。
かわいい顔して性格が最悪だっていう理由で。
おそらくリーダー格女子の言うこと聞かなかったから、邪魔者として認識されてたんだと思う。
いじめは中学に上がっても続いてて、私はこれから一生誰かにいじめられたままなんだなって、諦めてた。
でもそんなとき…」
言葉を区切り、私のほうを見つめる桃。
あのときのことは私も覚えてる。
桃と初めて話し、友達になったあの日。
「夏美、あなたが助けてくれた。
私をどん底から引き上げてくれた。
あなたには感謝してもしきれないくらい。
恩人なの、あのときから。
でもそれと同時に、
あなたは私の好きな人なの。
女の子が恋愛対象なんじゃなくて、青山夏美という人を好きになってしまった。」
…あのときから、だったのか。
全然気づかなかった。
「好きって言いたかったけど、そんなことしたら気持ち悪いって言われるんじゃないかと思って、何も言えなかった。
だから友達というポジションをキープした。
近くにいれるなら、それでよかった。
でも、高野くんが現れて、
夏美が彼のこと好きになっちゃった。
夏美の一番じゃなくなっちゃった。
そう思ったら、今までの私は何だったんだろうって悲しくなった。
でもそんな気持ち、知られたくなかったから隠してたのに
誰かさんは、何かあったのかって心配してくるし。
…それからあとのことは、夏美の知ってる通りだよ。」
…桃の言葉になんて返してあげたらいいのか、わからなかった。
私が何を言っても、桃を傷つけることになってしまう。