めんどくさがり系女子の恋愛事情
「私がこんなことを言うのは間違ってるかもしれないけど。
その気持ちをなくそうとしなくていいんじゃないかな。」
「え?」
目を見開く桃。
それもそうだ。
たった今、告白して、友達だと言われた人に、
その気持ちを持ち続けていいと言われてるのだから。
でも人を好きになったら、忘れようと思っても自分じゃどうしようもないことを
私は知っている。
足掻いたところで好きなものは好きだから。
だから…
「今すぐに忘れようとしなくていい。
…私の隣にいるのが辛いなら、友達をやめてもいい。」
「…うん。」
どんどん目が潤んでいく桃。
そんな姿を見てるとこっちまで泣きそうだ。
「そしていつか、桃に好きな人ができたら
私は今度こそ全力で応援したい。
そのときに、友達からまた始めよう。」
「…っ。」
私が言い終わる前にはすでに泣いていた桃。
それでも首を縦に振ってくれた。
それどころか、
「今日から、
私と友達をやり直してくれませんか…?」
私の提案にのってくれた。
好きな人に友達から始めようと言われるのは辛いことだと思う。
私だったら、私が高野くんに同じことを言われたら、
きっと立ち直れない。
それを桃は受け入れてくれた。
「…ありがと。
私のわがままを聞いてくれて。」
「ううん。
こっちこそ、私の気持ちを否定しないでくれてありがとう。」
「それじゃ、よろしくの握手!」
「うん!」
こうして私たちは右手を握り合い、友達として再出発した。
最初は辛いかもしれない。
でも少しずつ私への気持ちを忘れて、
桃が心から笑えるようになれるといい。
そう思った。