理系教師のオトし方
いろいろ覚悟して、私はぎゅっと目を閉じた。



ムギュッ




ん?ムギュッ?



想像と違う感触。


目を開けると、先生は私の両頬を、
手でムギュッとつまんでいた。


必然的に、ひよこ口になる私。


眉間にシワを寄せ、ひよこ口になっている私に、

先生は相変わらず飄々と言った。


「安心しろ。二人きりだからといって、お前のような子供とは何も起こらない。」



「なっ…!こっ、子供じゃないもん!」


かーっと顔が熱くなった。


はっ…恥ずかしい…。


「さあ、改めて授業始めるぞ。時間の無駄だ。」



そう言って、先生は黒板に向かった。



ダメだ。夏川先生は、何考えてるのかさっぱり読めない。



こんな人、初めてだ。
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