理系教師のオトし方
テスト期間中は、午前のみで学校は終わる。


ホームルームが終わって、私は美奈としゃべりながら帰る支度をしていた。


「テスト終わったら夏休みかぁ。美奈は夏休みどうするの?」


「んー、ほとんど予備校の夏期講習かな。」


美奈は頭が良い。


私たちの通う女子校は、エスカレーターで附属の女子大に進学できる。

でも一部の頭の良い生徒は、外部の大学を受験する。

美奈もその一人だ。


…私は当然、エスカレーター狙いなんだけど。


「そっかー。つまんないなぁ。」


「彼氏でも作ればいいじゃん!芽衣子がその気になればすぐできるでしょ。」



自分で言うのもなんだけど、私は妙にモテる。

見た目はごく普通だし、スタイルだってチビで全然良くない。


でも、私はなんとなく、相手がこうして欲しいのかな、っていうのが、直感でわかるんだ。


男の子は女の子にこういう反応して欲しいとか、何を可愛いって思うかとか、自然とわかっちゃう。


知らず知らずのうちに男子のツボにはまってしまっているらしい。


「じゃあまた合コンしようよ!」


「だから、あたしは予備校で忙しいんだって!」


ケラケラ笑いながら廊下を歩いていると、

「秋野。」

と背後から呼び止められた。


げっ…!!!


夏川先生だ…



「あっ、じゃあ、あたし先に帰るねー!芽衣子バイバイ!」


とばっちりを恐れて、そそくさと美奈は逃げていった。



「数学科室までちょっと来なさい。」



「…はぁい…」



さっきのテストの出来の悪さの件かな…。


ウサギの謝罪じゃ効果なかったみたいだ。


< 4 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop