理系教師のオトし方
私の本当のお父さんとお母さんは、私が3才の時に、事故で天国に行った。


幼かった私は、お父さんの妹家族に引き取られた。


育ててくれたお父さんもお母さんも、お兄ちゃんも、本当に優しくて、良くしてくれた。


何の不満もない…はずだったんだ。


でも、ある時気付いた。


私、3人から、叱られた事がない。


私も、ワガママ言って怒らせたり、困らせたりしたことがない。



私は幼いなりに、自分の状況を感じ取っていた。


困らせないように、怒らせないように。

そんなことしたら、私は捨てられちゃう。


3人の顔色を伺って、好かれるように行動してたんだ。



そのせいなのか、私は怒られることもなく、平和に幸せに暮らしてこれた。


けれど、いつの間にか、家族との間に、


分厚い壁が出来てしまった。
< 8 / 13 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop