し・か・え・し


「大手の会社だったのに
その会社の支店か何か?」


「全く違うよ
東京で決まってたのは
竹田工務店のエンジニア」


「えっ?竹田???
わっ!凄い立派な会社じゃん」


「だろ?だけど女のために辞退して
こっちの規模の小さい水本建設」


え・・・水本?知ってる
塾に通うとき近くを通るから。


そこにいるの?


「その女にさ
結局気持ちを伝えてないんだって!
アホだと思わない?」


「・・・そうね・・・」


しか言いようがない。


待って!あやさんがそう言ったから
あたし自意識過剰になってるけど
あたしのためじゃないかもしれないじゃん
だって・・・
啓次郎は好きな人がいるって
言ってたもん。


あたしのこと好きなら
そんなことをあたしに
言うはずがないじゃない。


でも・・・


広島だよ?
そんなに簡単に偶然って起きる?


やっぱりあたしのこと?


違う!!!
あたし広島出身だとか言ってないもん。


あたしじゃない
他に居るんだ思ってる人が。


その人も広島だったんだよ。


世間って狭いよ
だってあのあやさんの友達の
旦那さんも広島の人だった。


だから有り得ないことはない。







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