し・か・え・し


「ねぇ!大丈夫?」


「全然大丈夫!」


「いやいや あたしから見て大丈夫に
見えないよ!帰ろ」


「あ・・・うん」


結局支払いはあたし
これで支払ってと財布を渡されたけど
意識あやふやな人の財布を開けるのは
気が引けるから。


神野くんはお店を出ると
突然座り込み
『気持ち悪ぅー!飲みすぎた!』
と吐く寸前。


吐きはしなかったが
今度は『眠たい』って。。。


ヤバイとりあえずはタクシー探して
乗せて家まで連れて帰らなきゃ。


・・・って
この人の家どこ?


「ねぇー健斗くんちってどこ?」


「ちょい 待って」


「待ってっていつまで?
あたし明日学校あるし!」


「休んじゃえ!」


「もー!酔っぱらい!」


その時一台のタクシーが通りかかった。


すぐにあたしは呼び止めて
神野くんを乗せて
運転手さんには「この人の家まで
お願いします」と告げた。


運転手さんは困った顔を見せて
「この人の家ってどこ?」
とあたしに訪ねるが・・・
あたしも知らない。


「どこだろ?ねぇ!
健斗くんちどこなの?
ちゃんと説明できるよね?」


「困るから降りてくれない?」


「下ろされてもあたし困るんですけど」


「知り合いじゃないの?」


「数時間前に知り合っただけで・・・」


合コンで知り合ったと正直に説明すると
「だから若いものは ダメなんだよ
全くぅ」嫌味をたっぷり言われたけれど
とても親切な運転手さんで
「このままではあんたも困るだろうから」
と 近くのビジネスホテルへと車を
走らせた。







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