し・か・え・し


桃華と話していると
啓次郎のことをすっかり忘れていて
今日来ても居ないよと
連絡するのを忘れていた。


健斗との待ち合わせの駅へと着くと
一緒に友達が居るようだ。


「ごめん待たせちゃった」


「いつものことだね(笑)」


10分前行動って言ってたから
早く来たのにそれよりも早いなんて
なんなん?


それにさ 一人じゃないし。


「ごめんね
違う大学のツレとそこで会ったんだよ
『今から彼女と会う』って言ったら
『彼女見てもいいい?』って言うから
連れてきちゃった」


「あ・・・うん」


「こんばんは!オレは彬
へぇ~健斗の新しい彼女?
これまた可愛いね」


新しい彼女・・・これまた・・・
麻奈美さんのことを知ってる人だね。


「はじめまして美里です」


「近づきの印に握手を」


右手を差し出され
ちょっと戸惑った。


普通さぁ 友達の彼女にそんなことする?


あたしが手を出さなかったら
無理矢理に手を取り握手をしてきた。


それも力強く握られ
手のひらが潰れるかと思った。


「いたっ!」


「あっ!ごめんついつい」


「あ・・・いえ大丈夫」


大丈夫じゃないけど
そう言うしかなかった。




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