し・か・え・し
卒業式ーーー
『卒業式だけは行きなさい』
という母
『この日だけはおいでよ
卒業式は出ないと後悔するよ』
と迎えに来てくれた友人たち。
久々に制服にそでを通し
学校へ行ったのだ。
『美里!!!おはよう』
以前と変わらない友人たち。
『久々だね』とも『何してたの?』
とも 誰も言わない。
そして 誰も【三拍子】と言わない。
きっと恵子が昨日の内に
『あしたは美里を連れてくるから
余計なことは言わないでよ!』
とみんなに言ってたんだと思う。
普通に式を終え
最後の学活を終えあたしは一足先に帰ることにした。
みんなにこれ以上
気を使わせたくないから・・・。
『美里まだ帰るの早いよ
写真撮ろう!』
『ごめん用があるから
一枚だけね』
仲が良かった友人たちと一枚だけ撮った写真は今は
あたしのお守りの様なもの・・・。
自分を【変えたい】【変わりたい】
と思った姿だったから・・・。
『もう少し待って』
そう言われたが『ごめん』と教室から出た。
『石川・・・あのさ!!!』
靴箱のところで神野くんに偶然会った。
会いたくない人・・・。
あたしは無視をし続けた。
『お前のせいでオレは悪ものか?』
そんな話に発展してるわけ?
また文句言われちゃう・・・怖い。
『ごめん』
そう言ってあたしは耳を塞ぎ逃げるように
家へと帰ったのだった。