し・か・え・し



話していると「何かムカついてきた
電話して文句言ってやる!」
と 意気込んで彬に電話を掛けた。


「おい!美里にセクハラしただろ?」


彬は【してない】の一点張りみたいで
最後には『彼女欲求不満じゃないの?
妄想してんだろ?
ちゃんと相手してやれよ』
って言ったそうだ。


「本当に触られた?」


「じ・冗談じゃない!
あの人の言うこと信じるの?
あたしの言うこと信じないで」


「そーじゃないけど」


「もういい!」


思えば健斗の前でいつも
もういい!って怒ってる気がする。


「信じるから!
機嫌直して」


「心の底から信じてくれないと嫌だ」


「信じてるって!」


困った様子の健斗。


「オレ・・・どうしたらいい?
教えてよ どうしたらいいわけ?」


はぁ?そう出るか。


「もぉ~今回だけは許すよ!」


「わ~よかったぁ~
このまま怒って喧嘩になったら
どーしようって思った」


すごく安心した様子を見せた。


「そんなことで喧嘩なんないよ」


ここで喧嘩別れは早すぎる!
あたしピアス買ってもらっただけで
何も仕返しできてない。


今回のお金も返してないし・・・。


もっともっと好きにならせて
パチッと捨てる。


「今日はデートらしいデートじゃなかったな
このまま帰るって言うのも寂しいから
オレんち行く?」


家はマズイ・・・。


「今日は帰りたい気分だから
また今度にする」


健斗は残念がっていたが
車であたしのアパートの近くまで
送ってもらった。


あたしの住んでる
アパートは知られたくないから
近くで降りたのだ。





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