し・か・え・し


健斗の運転する車でおすすめスポットへ
向かった。


見晴らしは最高で田舎を思い出す。


「わぁ~いいねぇ~」


思わずはしゃぐあたし


「ねぇ!向こうもきれいじゃん
こっちも・・・見渡すかぎりきれいすぎる!!!」


「だろう?ここへ来たら
地元を思い出すんだ」


え・・・さっきあたしが思ったのと同じだ。


「地元?」


「そう生まれ育った町
あっ!オレね広島出身なんだ」


知ってる・・・。


「そうなんだ」


「あれ?それだけ?」


「それだけって?」


「遠いねとかびっくりされるんだけど」


「ああ・・・遠いね」


「もういいわ(笑)」


嫌なことがあるとここに来れば和むんだって。


「美里は東京育ち?」


「・・・そうだよ」


「そっか かわいそうだな」


「はぁ?」


「広島っていいところなんだよ
今度連れて行ってあげようか?」


いいところだってことは・・・知ってる
その町にあたしは帰るし・・・。


「機会があればね」


「就職したら行けなくなるから
それまでに計画立てるよ」


「あ・あたしなんかが広島へ着いて行ったら
ダメでしょ」


「ダメ?なんで?
彼女だろう?
彼女を連れて帰ってみんなに自慢する」


マジ?


「あ・・・あの・・・
麻奈美さんは行ったことあるの?」


「ないよ」


「無いのになんで
この前知り合ったばかりのあたしを?」


「美里にはどうしてか
オレの育った町を見せたいんだ」








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