し・か・え・し


今日のお祝い会は7時からなので
それまでにあたしは買い物を済ませ
ハンバーグを食べる直前で焼けるように
下ごしらえをした。


フランスパン・サラダにコーンスープ
そしてそして手作りのケーキ。


下手くそだけどスポンジから手作り!
トッピングはいちご。


作りながら『まるであたし恋人に
作ってるみたい』なんて思った。


啓次郎が恋人だったら・・・
どうなんだろう・・・
毎日楽しいかもしれない。


いや・・・
どうだろう・・・。


「オッス!」


啓次郎がなぜか花束を抱えてやって来た。


「はぁ?何それ!
誰かにもらったの?
あ~あ ここに来る前にどこかで
就職祝いしてきた?
そこでもらったの?」


「はぁ~」


おおきなため息をついた。


「どーしてそう言う考えになるかなぁ~
『啓次郎!あたしのために
買ってきてくれたの?ありがとう』
って思えねーのかな?」


「うん・・・と言うことは?
あたしに?」


「そう!」


「はぁ?なんであたしに???」


「お祝いしてくれるお返し」


お返し???
もしかして会うのは今日で最後?
最後だからお礼のつもりかな。


何だか寂しい・・・。


「あ!!!うまそーっ!」


「あ、そうそう今から焼くね」


花束をそのままそこへ置いて
ハンバーグを焼き始めた。




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