し・か・え・し
テーブルに向き合って
啓次郎のグラスにジュースを
注いだ。
「ジュース?
ここはワインとかぁ~」
「ありません!
飲酒運転になるからダメ!」
「泊まれば問題なくない?」
「あ~そーか!
でも買ってないから残念
はい!仕切り直して
おめでとう」
啓次郎に向かってグラスを傾けた。
啓次郎はハンバーグを一口食べると
「旨い旨い うちのおかんより
何十倍も旨いよ」
なんて そんなに べた褒めされると
どう反応をしたらいいのか
わからなくなる。
だから照れ隠しに
「誰が作ったと思ってんの?」
なんて可愛くないことを言ってしまう。
「ねぇ~啓次郎の職場ってさ
遠いの?」
「うーん・・・遠いと言えば遠いかな?
近いって言えば近いし」
「全く答えになってないっ!」
秘密ってことだろうけど
秘密が多すぎる。
「あはは」
また・・・誤魔化された。