わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
「舞、愛菜、結菜、おはよう。
…………ついでに陽も」
「うぉい!!なんでだよ!」
「え?なんとなく」
「おはよう、正秀(マサヒデ)くん」
教室に付き、真っ先に話しかけてきたのは正秀くん。
普段は静かで大人しくて、陽くんとは全く正反対の性格なのに、2人は大の仲良しだ。
実は幼馴染なのは結菜ちゃん愛菜ちゃんと陽くんだけじゃなくて、正秀くんもなんだって。
幼馴染4人が高校になる今までずっと変わらず仲良くしてるなんて、なんだか素敵だよね。
ついで呼ばわりされた陽くんが正秀くんの肩に腕をのせ、正秀くんが『重い』なんて言いながら笑う。
いつもの光景だ。
ただ…今日みたいな日は、正秀くんは大人しくない。
「正秀…昨日のホラー特集の番組見た?」
結菜ちゃんが話し掛けると、正秀くんはフフンと悪戯っぽく笑った。
得意げに、手帳を広げる。
「もちろん。
さぁ今日はたっぷり話を聞いて貰うからね」
「ゆ、結菜ぁ!
言わないでっていったのにぃ!」
「えぇ?だって面白いじゃん!
全然怖くないしね」
「ふっふっふっ…昨日の特集は怖い話が多かったぞ…?」
「えっ………い、いや、大丈夫だし!!」
「まずは…そうだな、こんな話があった。
あるところに…」
「うぅ…どうしても聞かなきゃダメ?」
「愛菜ったら、ほんとお子ちゃまなんだからぁ」
「………」
結菜ちゃんと愛菜ちゃんが言い合っている隙に、陽くんがそろりとその場を離れようとする。
けど、正秀くんが話を中断してまで呼び止めるものだから、それも叶わない。