わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜





パソコンに映った黒一面の画面は、教室が明るければ他のパソコンとさして変わらないだろう。



特に役に立つ情報が書いてあるわけでも、外に連絡出来そうな雰囲気でもない。


これに…何か意味があるのかな。




トン、と適当にキーボードを押してみる。



たまたま押したNのボタンはカタリと小さな音を立てたけど、何も反応はなかった。



続いて、マウスに触れる。



「!」



カーソルが、出た。



真っ黒な中に1つだけ浮かぶ白い矢印。


スイーっと滑らせたマウスの動きに合わせて、カーソルも動く。



しばらくクルクルカーソルを移動させてみたけど、特にカーソルが反応する場所もなく、何か特定の場所を探すのをやめて適当に左クリックを押してみる。




『——サーチを開始します』



「っ!?」



その瞬間、静かな空間に無遠慮に流れた機械音と同時に、真っ黒な画面に“Now loading”の文字が浮かび上がる。


ビクッと身体を跳ねさせた私は、マウスから手を引くだけじゃ飽き足らず3歩ほど飛びのいてしまった。





びっ……くりしたぁ………!



こんなに大きな声…機械の声だけど、それを聞いたのはもうどれくらいぶりだろうって感じだ。



今の、〈あの子〉に聞こえてないよね…?



不安になりつつ、パソコンの様子を伺う。



一体何が始まったっていうんだろう。



サーチ?…何を?


〈あの子〉の場所…とかなら、すごく助かるんだけど。



わずかな期待を寄せながら、ローディング画面をジッと見つめる。




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