わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜




すりガラス越しの〈あの子〉の笑みが、脳裏にこびりついて離れない。



上にまた上がるのを、身体が全力で拒否しているみたいだった。









…ふと、芽衣さんたちのことを思い出す。



今私の左腕に下がった袋に入っているポスターを見て、苦しそうに涙を流した芽衣さん。



悠人さんの帰りが遅いことに気付いた時、不安そうに『大丈夫』と言い聞かせていた朱里さん。



その場にいた全員が危険にさらされた時、大声をだして〈あの子〉を引きつけた悠人さん。



悠人さんはあんなに勇敢な行動をしていたけれど、思い返してみれば、ここに来た時は3人揃ってどこか不安そうな顔をしていたのを私は見ているはずだ。




…あの人たちだって、同じなんだ。



私と同じ。



怖くて、不安で、たまらない。


それでも、みんな頑張ってる…。





「…よし!」




行かなきゃ。



動きたくなさそうにしている足を無理やり上げて、その場で足踏みする。



行ける。大丈夫。



思ったよりも案外スムーズに動いた足を扉の方に向ける。




まずは屋上に向かって、青色の点が何を示しているのかをハッキリさせよう。




出来ることなら、芽衣さんたちにも会えるといいけど…。


あの3人なら、このパソコンのことも何か知っているかもしれない。




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