わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
「陽。どこ行くの?」
「え、あー…いや、ほら。
今日の授業の予習をだな…」
「逃がさないよ?」
「待て、正秀。腕離せ」
「えーと、どこまで話したっけ?」
「やめろ話すな!!離せ!!?」
「え?話せ?わかった、じゃあ再開するよ」
「………くっそー…」
結局陽くんも逃げられず、観念したようにその場に留まった。
…そう、正秀くんはホラー話が好きで、毎度毎度ホラー番組がある度に手帳にメモをして、こうやって皆に語るの。
それはそれはもうなんか…めちゃくちゃ語り方が上手い。
後で考えてみるとさして怖くもない話でも、正秀くんが言うと何故かすごく怖く感じるんだ。
まあ、結菜ちゃんもああ言っておきながら自分でホラー特集を見ない辺り、怖いんだろうなぁ。
私が思うには、多分陽くんと結菜ちゃんが一二を争う怖がりだと思う。
愛菜ちゃんは話さないでと言うわりに泣いたり叫んだりはしないし、ただただ苦手なだけ…なのかな。
きっと、そうなんだろう。