わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜




「黒田、自己紹介を頼む」


「……………。
黒田、狛。よろしく」


「…………え」



低音の声が紡いだ名前に、つい声が漏れる。



慌てて口を押さえたけど、みんなはそのイケメンさに騒いでいて誰も私のことなんて見ていなかったようで、ホッと息をつく。



それにしても…黒田『狛』?


名前まで同じ?



でも、あの『黒田くん』は1つ年上なはずだし…。



同姓同名…?すごい偶然。


狛って、なかなか珍しい名前だと思うんだけど。



不思議に思いながら、賑やかな教室を見回す。



しかし、それもすぐに停止することになってしまった。



だって、結菜ちゃんが驚いたような…いや、恐怖を感じたと言ったほうが正しいような、そんな驚愕の表情を浮かべていたから。



おもいおもいに騒いでいる教室には似つかわしくなく、暗くて固い表情。



いつも笑っているイメージの結菜ちゃんのそんな顔を見たのは初めてで、目が離せなくなる。



…なに?どうしたの?


その表情を見た途端、私の中で何かが騒ぎ出す。



嫌な予感がする。


見てはいけないものを見てしまったような、そんな感覚。



それを振り払うように、愛菜ちゃんを見る。



愛菜ちゃんには似合わないような…睨みと恐怖が入り交じったような顔が、私の目に写った。



………え?



愛菜ちゃんまで…?



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