わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
流石に怖くなって、勢いよく陽くんの顔を見る。
それから、正秀くんの顔も。
やっぱり……2人ともが同じように、口を真一文字に結んで怖い顔で黒田くんを見つめていた。
まさか…?
1つ年上の人が同じクラスに転校してくるなんて、そんなことがあるはずがない。
それはもちろんわかっていて、それでも、この人は多分私が来る直前に転校したあの『黒田狛』なんだろう。
今朝、黒田くんの名前を出した時の微妙な違和感。
それと今の4人の顔が合わさって、確信めいた何かが私の胸を過ぎる。
教室中を見回してみたけれど、4人以外のみんなは何事もないようなふうに騒ぎ続けている。
元々『黒田狛』を知らなかったのか…それとも別の理由があるのか。
誰も違和感なんて感じていないようだった。
そう、…先生でさえも。
まるで夢でも見ているかのようだった。
後から考えると物事の進み方も、その場にいる人も、あらゆることがおかしいのに、夢を見ているそのときはそれが現実だと信じてやまないあの感覚。
あの中で、自分だけが『これは夢なんだ』と気付いてしまったような居心地の悪さを感じた。