わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
「……陽くん。正秀くん」
ガタン!!!
二人を振り向いた瞬間、陽くんが勢いよく椅子から立ち上がった。
反動で椅子がひっくり返る。
その音に驚いて、私はビクッと身体を揺らした。
「………黒田…狛。
何がどうなってんだか知らねえが、今さらなにしに来たんだよ…。
あれはもう終わった話だろ!?」
バン!と陽くんが机を叩いた。
あれ…?終わった話…?
なんの話をしているの?
訳がわからなくて、不安が募る。
「…………あぁ。
わかってんなら話は早い。
ついてこいよ。落とし前をつける。
…………あの部屋でな」
黒田くんが立ち上がると、つられたようにあとの3人も立ち上がった。
揃って教室を出ていこうとする。
「ま、待ってよ!!」
「………篠咲舞」
慌てて追いかけようとすると、黒田くんに呼び止められた。
名前…教えたっけ?
そう思ったのもつかの間、黒田くんが私に歩み寄る。
「お前には…頼みがある」
「頼み…………?」
「あぁ」
すっと、私の前に手が差し出される。
グーで、何かを握っているようだった。
「……受け取れ」
黒田くんの手と顔を交互に三回くらい見る。
これは…。
受け取らなきゃダメ…なの?
おずおずと手を差し出すと、黒田くんの手に握られていたものの重みを感じた。
「…………時計?」
小さな、女物の腕時計。
壊れているのか、4時44分に針が止まったままで動いていない。
なんでこんな不吉な数字…?
「この時間に、校舎の屋上。
これをもって、隣校の3人を連れて来い」
隣校の3人?
4時44分に………?
「ど、どういうこと?
隣校の3人って誰?」
隣校のことなんて知るわけない。
この学校だってまだ二ヶ月しかいないわけで、ほぼ知らないのに…。