わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
「…………ついに、来たわね」
朱里さんは一瞬驚いただけで、すぐに何かを理解したようだった。
それはこの場にいる私以外全員そうで。
なんだか理解していない私がおかしいように感じた。
「うん…あれ?」
芽衣さんが違和感を感じたように、制服のスカートのポケットに手をやる。
「なんか重く…あ、これ」
取り出したのは…シャーペンと、折り畳み式ナイフ?
なんでそんなもの…?
「…………?
芽衣、いつからそんな物騒なものを持ち歩くようになったのかしら」
「えっ、ち、違うよ!?
これ…前回のデッドカースで拾ったものなの。
向こうに戻ったらいつの間にかなくなってたから忘れてたけど…持ち物、前回のそのままみたい」
前回…?
前にもこうやって空が消えたの?
「………前回。
そういや、俺もなんか拾ったな」
思い出したようにポケットに手を突っ込んだ悠人さんが、キラリと光る何かを取り出した。
「それは…ネクタイピン、よね?」
悠人さんの手に握られていたのは、男物のネクタイピン。
この暗さの中で何を反射しているのか、光沢が見える。
「あぁ。
どこだったかな…あ、そうだ。技術室の前。
見つけてすぐ〈あの子〉を見かけたからな、拾ったことも忘れてたぜ」
〈あの子〉…。
あの子って誰?
……なんか、わからないことだらけだな。