わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜



「まあ、それは一旦置いておきましょう。
それより、狛が何を考えているのか…それを考えるべきね」



朱里さんが言うと、二人はそれぞれ頷いて物をポケットにしまい直す。



それからすぐ3人ともとてつもなく真剣な表情になったから、少し驚いてしまったけど。



大切な話をするような雰囲気だったから、私も慌てて気を引きしめた。




「そうだね…。
今の、詩野って言ってた…」


「……間違いなくあいつだろうな。
なんで狛があいつと一緒にいるんだ…?」


「佐久間に協力しているってことかしら…?
…それに、さっきの条件も変ね。
私を探してって、あっちが本気で逃げようとしているなら見つかりっこないもの。

1回目はあの5人を殺すため、2回目は私たちの懺悔を聞くため…どれも理由がはっきりしているのに、今回はいまいち目的があるようには思えないわね」



3人が考えている間、私は全く話についていけず辺りを見回す。



朱里さんは床に目を落としつつ、小難しい顔で何か考えていた。



芽衣さんは少し不安げに、ラジカセがあった場所を見つめている。



悠人さんは腕を組んで―――。



………………ん?



ぐるりと見回していた視線を悠人さんで止める。



何か、おかしい。



違う、悠人さんがじゃない。



私が違和感を感じているのは…そう、悠人さんの後ろ。



悠人さんを見たとき自然と視界に入った屋上の入り口だ。



あれは…こんなに小さかった?



いや…確か、扉は両開きだったはず。



でも今目の前にあるドアは片開きのドア。



まさかと思って今度は屋上全体を見渡す。



さっきは外に気をとられていたけど…改めて見ると、違う。



ここ…私の学校じゃない。



ここはどこ…!?



「しかも途中参加ということはもうここに…誰かは知らないけど、今回の参加者がいるはずよ」



「あ、あの!」



私が声をあげると、3人が私を見る。



………話遮っちゃったけど、悪かったかな…。



いや、そんなこと言ってる場合じゃないよね…?



< 29 / 119 >

この作品をシェア

pagetop