わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
………でも。
この人はつまらなかった。
巻き込んだのを後悔するくらいに。
〈あの子〉に遭遇しても無表情だし、もうちょっとで芽衣ちゃんを殺せると思ったのに助けちゃったし。
しかもメトロノームを投げてだよ?あり得る?
幽霊に立ち向かう人が出るなんて思いもしなかったよ。
妙に頭もキレる上、何故か〈この子〉との遭遇率も高かったせいで前回の〈この子〉はイマイチ機能しなかったし。
最後、桜の姿で思いっきり騙せたのは中々爽快だったけど。
予定では、もうちょっとみんなを疑心暗鬼に出来るはずだったのにさ。
…気に入らない。
恨みもないのに殺してしまうのは良くないよね。
そんな考えの私はもういない。
私はもう死んでいるし、人間の善悪なんて今さら気にすることもないでしょ?
1度そう考えたら、なんだかどうでも良くなってしまった。
だから、予定変更。
この人だけは…狛だけは、帰してあげない。
今、皆はもう、この空間から抜け出して現実に戻れる光に飛び込んで、帰ったあと。
ほら、早く飛び込んで?
狛だけは帰れないから。
飛び込んだ瞬間、またこの空間に送り返されるよ。
ほら、早く。
その無表情を崩して、私に絶望の顔を見せて?
にまにま笑いながらその様子を見ていると、狛がちらりとこちらを見た。