わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
「あ?
朱里、んなもん持ってたのかよ。
急に行くことになったってのに準備良すぎだろ」
「ええ…。
いつこの時が来るかわからないんだもの、いつも携帯してたの。
小さいやつだけれど、ないよりはマシでしょう」
朱里さんも、悠人さんも、芽衣さんも、状況を理解しているみたいで。
この場で落ち着いていないのは、私だけだ。
「そうだ。
まずは舞ちゃんに説明しないとね」
あっ、はい、是非!!!
「あぁ?歩きながらで良いだろ。
ここも…いつまで安全かわかんねぇ。
出入り口が1つの場所に留まり続けるのは自殺行為だぜ」
……なんて私が言う前に、悠人さんが深刻な声音で口を開いた。
安全………。
ここは…普通の学校とは確かに思えないけど。
そんなに危険な場所なの?
それならなんで3人は…ここに来るってわかってて私に着いてきたの?
疑問はどんどん増えていくけど、冷たい空気が充満するここではあまり声を出さない方が良いような…そんな気がした。
「じゃあ、歩きながら説明するね。
えっと…まず、〈あの子〉のことかな」
屋上から校内に移動しつつ、耳を傾ける。
校内も、ひんやりとした空気でいっぱいいっぱいなようだった。
学校ではなくどこかの心霊スポットにでもいるような、不気味な感覚。
「………声は聞こえないわね。
襲われてないのか…それとも、私たちみたいにもう対処策をヒントとして与えられたのか。
どちらにしろ、合流することを考えて行動しましょう」
朱里さんが呟いた。
全員が、頷く。
「〈あの子〉って言うのは、盲目の女の子のこと。
耳が恐ろしく良いから、出会ったらなるべく静かにやり過ごすこと。
捕まったら、殺されるからね」
「えっ!?」
こっ、殺される!?