わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
「これからどうしよ……」
黒田くんと違って特にやることもない…いや、物探しを頼まれてはいるけど、〈あの子〉がいる状況であんまり大胆に動くわけにもいかないし……。
でも動かないとずっと1人だよね?
それはちょっと…うーん…。
この石があるなら〈この子〉に騙される心配はなさそうだし、静かに移動すれば大丈夫かな…?
とりあえず石をカーディガンのポケットにしまって、そーっと歩き出す。
悠人さんが屋上がいつまで安全かわからないって言ってたように、ここも〈あの子〉が来れば危険なわけだし。
それに早く合流しなくちゃ、私は騙されなくてもみんなが騙されちゃうかもしれない。
…それにしても、さっき誰だったか、誰かが1階に人影があると言っていたからそこに向かってはいるけど。
妙なくらい、物音1つ聞こえない。
もうみんな死んじゃったんじゃないか…そんな不安に襲われる。
…ダメだ、早く誰かと合流しないと。
1人の心細さは想像より遙かに大きい。
誰かいますようにと願いながら階段を降りる。
そういえばさっき、ここに巻き込まれているのは隣校、つまり私の高校の人なんじゃないかとか言っていたけど。
それってもしかして結菜ちゃんたち……?
結菜ちゃんたちと一緒に出て行った黒田くんがここにいるんだから、もしかしなくてもそうなんだろう。
芽衣さんたちはここのことを何かよく知っているようだったけど、結菜ちゃんたちは…………。
さっきの悲鳴、今思えば愛菜ちゃんの声に似ていた。
「っ……急がなくちゃ」
急いで合流しなくちゃ。
無事か確かめたい。
どうか無事でいて……!
とりあえずさっき芽衣さんたちが走っていった方向に足を進めると、すぐそこに階段を見つける。
3人はここから下に降りたんだろう。
なんだか下の階がここよりも暗くなっているように見えて一瞬足を止めたけれど、一度大きく息を吸ってから、階段を降り始める。
空気が少しだけ重くなった。…ような気がした。